私の時計

いつから？
いつからだっけ？

単純でいいなあ。
掛け時計に向かってつぶやく。
同じ場所を右回りに飽きもせずぐるぐると。
私は、そんなものに日々翻弄されている。

葉先の黄色い雑草が、
若葉の時と同じように、
冷たい風に葉を揺らしている。
どうせ枯れるのにね。

いつから？
いつからだっけ？を繰り返して、
戻らない時計を戻そうとしてばかり。
腹も決められず、
肝も据えられない。
雑草には腹も肝も無いと言うのに。

掛け時計の電池を抜き、
裏蓋に自分の名前を書いて閉じ、また掛け直す。
単純でも複雑でもないと思うけど、取り敢えず私は私だ。
腹も肝もある。
雑草にはなれない。
雑草にもなれない。



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夜の海

聴き慣れたギターの音に甘えきれず
夜の海にぷかりと浮く魂

ヒビだらけの器に収まりきらない気持ちはどうしたらいい？
その辺に落っこちてるような気持ちの集まりなのに
捨てる勇気も持てない私は
持て余していじけて困り果てて

そんな気持ちを背負ったまま仕方なく夜の海を彷徨う
私の泳ぎは背中の荷物のせいで、より不恰好になった

何でもいいから寄り添いたくて
わからなくていいから聞いて欲しくて
こんな言葉の羅列ではとても足りなくて

それなら、不恰好でも泳ぐしかなくて


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私は知ってる

掴み損ねた昨日を思う今日
揺さぶっても　揺さぶっても
何も出てこない心に
立ち尽くすばかり

本当は隠している
爪が食い込むほどギュッと握っている
揺さぶっても出てこないこと
わかっていて揺さぶる

手の中のそれは
いつからあるのかもわからない
使い物にならないタオルの切れ端
ポケットからタオルを取り出し
褒められた時のことを　どうしても忘れられなかった

今日も昨日のように掴み損ねた
こうしてボロボロのタオルの切れ端が心を腐食していくことを
私は知ってる


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とり

一人ですね
独りですね
頭の中で鳥が鳴いてる

取り締まりが段々キツくなる
あれもだめこれもだめ
何も考えず取り敢えず捨てた

あれは命取りでしょう
通りすがりの人たちの会話に
異常に反応して

盗られることばかり心配してた
何もしていないはずなのに
自分で捨てたはずなのに

一人ですね
独りですね
でも生きていますね


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つみ

君に罪はないよ、と言おうとしてふと思う。
じゃあ私に罪があるのだろうか？

笑顔は摘み取られたのか。
それとも私が摘み取ったのか。
それにしても何処へいったの？
異常に怯える日々を受け入れたわけじゃない。

無邪気な光に作られる影に仕方なく目線を落とし、
私だけじゃないと言い聞かせたって、
積み重ねた気持ちは消えなかった。


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